#なぜなぜ分析の仕組み — 表面と根本
なぜなぜ分析は、1950年代にToyotaの豊田佐吉が開発した根本原因分析の手法です。何らかの症状が起きたとき、「なぜ?」を5回続けて問い、表面から根本へと掘り下げます。単純に見えますが、実際に最後まで掘り下げる人は驚くほど少なく、多くの人は1〜2回で納得して止めてしまいます。本当の本質は、通常3〜5段階目で初めて見えてきます。
#事業計画書に適用する — 決済時の離脱を例に
抽象的な説明より、具体例のほうが伝わります。「B2Cの決済時の離脱率が70%」という症状を、なぜなぜ分析で掘り下げてみましょう。
| 段階 | 問い | 答え |
|---|---|---|
| 症状 | 決済時の離脱率が70% | — |
| なぜ 1 | なぜ70%が離脱するのか? | 決済フォームに12項目あり、多すぎる |
| なぜ 2 | なぜ12項目もあるのか? | カード情報、配送先住所、利用規約への同意を、毎回最初から入力・選択しなければならない |
| なぜ 3 | なぜ毎回なのか? | 「保存」機能が信頼されていない |
| なぜ 4 | なぜ信頼されていないのか? | 会員登録と決済のフローが分かれている |
| なぜ 5 | なぜ分かれているのか? | 決済代行サービスのガイドに従い、自社のユーザーフローを一度も検証しなかった ← 根本原因 |
表面的な答えは、「決済フォームを短くする」。根本原因に基づく答えは、「会員登録と決済のフローを統合し、決済代行サービスのガイドではなく、自社のユーザー検証データを基にフローを設計し直す」です。2つの解決策は、費用も効果も所要期間もまったく異なります。表面的な答えに基づいてフォームを削っても、離脱は10%しか減りません。根本原因に基づいてフローを設計し直せば、離脱は40〜50%減ります。
#よくある3つの落とし穴
- 5回までたどり着かない — 1〜2回で「ああ、そういうことか」と納得して止めてしまう。実際には、まだ表面にとどまっています。
- 答えが次第に弱くなる — 掘り下げるほど答えが曖昧になったり、「たぶん……」で終わったりする。データやインタビューが不足している兆候です。
- 因果のつながりが切れる — 「なぜ 3」の答えが、実際には「なぜ 2」の直接の原因ではなく、無関係な出来事になっている。因果関係がつながっているかを確認する必要があります。
#ワークシート — 5段階の「なぜ」テンプレート
下の表をそのままコピーし、自分の事業計画書の中核となる課題を1つ選んで適用してください。所要時間は約30分です。終わるころには、たいてい「ああ、ここが弱かったのか」と気づけます。
| 段階 | 問いのテンプレート | 根拠(データ/インタビュー/ログ) |
|---|---|---|
| 症状 | 自分が解決しようとしている課題を1文で | 定量化した指標(%/件数/頻度) |
| なぜ 1 | なぜ、この症状が起きるのか? | 1段階目の原因+根拠 |
| なぜ 2 | なぜ、その1段階目の原因が生じるのか? | 2段階目の原因+根拠 |
| なぜ 3 | なぜ、その2段階目の原因が生じるのか? | 3段階目の原因+根拠 |
| なぜ 4 | なぜ、その3段階目の原因が生じるのか? | 4段階目の原因+根拠 |
| なぜ 5 | なぜ、その4段階目の原因が生じるのか? | 根本原因+検証可能な根拠 |
5段階をすべて終えたら、次の問いに答えてください。(1)根本原因は、人ではなく構造・環境・プロセスに行き着いているか?(2)根拠のすべての欄が、実際のデータで埋まっているか?(3)解決策は表面ではなく根本原因に対処しているか?3つとも「はい」なら、事業計画書のPの項目は、合格水準の深さに達しています。
#P・S・Tの各軸で自己診断する — なぜなぜ分析の応用
なぜなぜ分析は、P(課題)だけでなく、S(解決策)やT(チーム)にも適用できます。事業計画書の弱点を素早く診断するための、3軸のアプローチを紹介します。
| 軸 | 出発点となる症状 | なぜなぜ分析でたどり着くべき根本 |
|---|---|---|
| P | 顧客に自社を知ってもらえていない | → マーケティングが弱いのではなく、顧客の定義そのものが曖昧 |
| S | MVPを作ったが、誰も使わない | → 解決策が間違っているのではなく、解決しようとしている課題が実在しない |
| T | 実行が進まない | → 意欲の不足ではなく、意思決定権限と役割・責任(R&R)が不明確 |
#OpenSeedでなぜなぜ分析を自動化する
なぜなぜ分析を1人で最後までやり切るのが難しい理由は、単純です。自分の答えに納得してしまいやすいからです。外部の視点が欠かせません。OpenSeedのAI審査の関連する評価役は、実質的になぜなぜ分析を自動で行います。事業計画書のあらゆる主張に対し、「なぜそう言えるのか?」を繰り返し問い、根拠の一貫性と深さを確かめます。
本質に届いているか、外部の視点で確かめる
OpenSeedのAIレビューで、事業計画書の主張にある因果関係と根拠を確認できます。
提出前に根拠・論理・リスクを確認する意思決定支援サービス
OpenSeedのレビューを始める →