#プレマネーとポストマネー — 計算の出発点
| 用語 | 定義 | 計算式 |
|---|---|---|
| プレマネー評価額 | 投資直前の企業価値 | ポストマネー − 投資額 |
| ポストマネー評価額 | 投資直後の企業価値 | プレマネー + 投資額 |
| 投資家の持株比率 | 新規投資家が保有する持分の割合 | 投資額 ÷ ポストマネー |
| 既存株主の希薄化 | 既存株主の持株比率の減少 | 投資額 ÷ ポストマネー |
例:プレマネー₩2B、投資額₩500M → ポストマネー₩2.5B、投資家の持株比率20%(₩500M ÷ ₩2.5B)。この計算式を1つ覚えておけば、どのシード案件でも希薄化をすぐに計算できます。
#シード期の企業価値を決める4つの要素
| 要素 | 影響度 | 評価基準 |
|---|---|---|
| トラクション | ★★★★ | ユーザー数、売上、締結済みの基本合意書(MoU)、インタビュー件数 |
| チーム | ★★★★ | 事業領域の専門性 + フルタイムでのコミットメント + 実績 |
| 市場規模 | ★★★ | TAM・SAM・SOMの整合性 |
| 競争環境 | ★★ | 直接競合・間接競合 + 参入障壁 |
トラクションがまだないシードラウンド(売上ゼロ)では、チーム、市場、「なぜ今なのか」がほぼすべてを決めます。実際のトラクションが現れると、評価額は通常2-3倍に上昇します。
#SAFE、転換社債、評価額を確定する株式調達 — 3つの仕組み
| 仕組み | 特徴 | 利用される場面 |
|---|---|---|
| SAFE | 評価額を未確定にする + 将来の株式転換を保証 | Y Combinatorの標準方式。迅速に完了させる案件。 |
| 転換社債 | 利息 + 満期日 + バリュエーションキャップ | 従来型のブリッジラウンド |
| 評価額を確定する株式調達 | 評価額を確定 + 優先株式 | 正式なシードラウンド(₩500M以上) |
SAFE(Simple Agreement for Future Equity:将来の株式取得に関する簡易契約)は、2013年にY Combinatorが導入しました。企業価値評価の交渉を先送りし、シリーズAで自動的に株式へ転換します。迅速でシンプルなため、シード期の標準的な方式になりました。
#SAFEの転換シミュレーション — キャップとディスカウントの仕組み
SAFEには、バリュエーションキャップとディスカウントという2つの投資家保護の仕組みがあります。
| 仕組み | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| バリュエーションキャップ | 株式転換時に適用する評価額の上限 | キャップ₩3B → シリーズAの評価額が₩5Bでも、₩3Bを基準に転換 |
| ディスカウント | シリーズAの価格に適用する割引 | 20%割引 → シリーズAの評価額が₩5Bなら、₩4Bを基準に転換 |
| 最恵待遇条項 | 提示された最も低い価格に自動的に合わせる | 後続のSAFEにより有利な条件が付いた場合、先行投資家にも同じ条件を自動適用 |
| 転換の発動条件 | シリーズAまたは流動化イベント | シード期のSAFE投資家は、最終的にシリーズAの優先株式を保有 |
シミュレーション例:₩500MのSAFE(キャップ₩3B、ディスカウント20%)が、評価額₩5BのシリーズAで転換する場合。キャップ適用時:₩500M ÷ ₩3B = 16.7%。ディスカウント適用時:₩500M ÷ ₩4B = 12.5%。投資家にとって有利な方、この場合はキャップ適用による16.7%が自動的に選ばれます。
#累積希薄化 — シードからシリーズA、シリーズBへ
創業者が最も見落としがちなのが「累積希薄化」です。シードで20%、シリーズAで25%、シリーズBで20%を新規投資家に割り当てたとき、自分の持株比率がどうなるかを直感的に把握するのは難しいものです。
| 段階 | 投資家の持株比率 | 創業者の残存持株比率 | 累積希薄化率 |
|---|---|---|---|
| 創業直後 | 0% | 100% | 0% |
| 15%のオプションプールを設定 | 0% | 85% | 15% |
| シード(20%) | 20% | 68% | 32% |
| シリーズA(25%) | 新規25% + シード分15% | 51% | 49% |
| シリーズB(20%) | 新規20% + 既存分 | 40.8% | 59.2% |
#韓国における標準的なシード期の評価額の目安(2026年)
| ラウンド | 投資額 | プレマネー評価額 | 新規投資家の持株比率 |
|---|---|---|---|
| プレシード | ₩50M-₩200M | ₩500M-₩1B | 10-20% |
| シード | ₩200M-₩1B | ₩1B-₩3B | 15-25% |
| プレA | ₩1B-₩3B | ₩4B-₩8B | 15-25% |
| シリーズA | ₩3B-₩10B | ₩10B-₩30B | 20-30% |
これらはIT・SaaS・AI企業の平均値であり、ディープテックやバイオテックでは通常1.5-2倍高くなります。韓国の予備創業パッケージやTIPSなど、政府支援を受けた後にシードラウンドで調達する企業は、評価額がおよそ20-30%上昇する傾向があります。
#セルフチェック:自社の企業価値をシミュレーションする
- 自社が実際に該当するのは、プレシード、シード、プレA、シリーズAのどの段階ですか?(トラクションと売上に基づいて判断。)
- 同じ業界・同じ段階の類似案件について、比較可能なプレマネー評価額を5-10件調べましたか?
- 自社の調達は、SAFE、転換社債、評価額を確定する株式調達のどれに最も近いですか?
- オプションプールはシードラウンドの前と後のどちらで設定しますか?(前 = 創業者の希薄化、後 = 投資家の希薄化。)
- 目標調達額で、シリーズAまでの12-18か月分の運営費を賄えますか?
- キャップとディスカウントの条件が、シリーズAで実際にどう株式転換されるかをシミュレーションしましたか?
- 5年目の時点で、自分の持株比率は30%を超えていますか?(議決権による実質的な影響力を維持するための基準。)
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