#
バーンレートは、会社が1か月に実際に消費する現金の額です。グロスバーンは月間支出の総額、ネットバーンはそこから売上を差し引いた額、つまり実際の現金消費額です。投資家が「バーンレート」を尋ねるときは、ほぼ常にネットバーンを指しています。
計算式はシンプルです。ネットバーン = 月間支出総額 − 月間売上。月間支出が₩20M、月間売上が₩5Mなら、ネットバーンは₩15Mです。これが毎月、銀行口座から実際に減っていく金額です。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 人件費(CEOを含む) | ₩12M | 4人チームを想定した例 |
| オフィス・インフラ | ₩2M | シェアオフィス、サーバー |
| マーケティング・広告 | ₩4M | 成果を測定できる集客チャネル |
| その他の運営費 | ₩2M | 外注費、消耗品など |
| グロスバーン | ₩20M | 月間支出総額 |
| 月間売上 | -₩5M | サブスクリプション、サービスなど |
| ネットバーン | ₩15M | 実際の現金消費額 |
初期のスタートアップでは、人件費がバーンレートの60–70%を占めることがよくあります。まずは、1人を新たに採用するとバーンレートがいくら増えるのか、具体的な数字で把握することです。「自社のバーンレートは妥当か」を判断する前に、正確に測定する習慣を身に付ける必要があります。
#
ランウェイは、現在の現金残高をネットバーンで割り、月数で表したものです。ランウェイ = 現在の現金残高 ÷ ネットバーン。先ほどの例をそのまま使うと、現金が₩90M、ネットバーンが₩15Mなら、ランウェイは6か月です。
ランウェイが6か月というのは危険信号です。資金調達には通常4–7か月かかるため、残り6か月の時点で初回面談を始めるのでは、すでに交渉力を失っています。一般に推奨される目安は18か月以上です。12か月を下回ったら、バーンを削減するか、資金調達のスケジュールを本格的に見直す必要があります。
ランウェイの計算で見落としやすい項目には、付加価値税や法人税の中間予納、ソフトウェアの年間契約料、想定外の返金やキャンセルがあります。直近3か月の実績を基に月間平均支出を計算し、不定期の支出も必ず月平均に換算して織り込んでください。そうしなければ、計算は実態に合わなくなります。
#
デフォルト・アライブは、Paul Grahamが2015年に提唱した診断のための概念です。追加投資を受けず、現在の成長率とバーンレートを維持した場合に、損益分岐点へ到達できるかを問います。反対の状態がデフォルト・デッドで、追加資金がなければ、その前に現金が尽きます。
計算は3つのステップに分かれます。まず、現在の月次売上成長率を求めます。次に、その成長率が続くと仮定し、売上が月間支出総額を上回る時点を推定します。そして、その時点が現在のランウェイ内ならデフォルト・アライブ、ランウェイを超えるならデフォルト・デッドです。
| 状態 | 条件 | 意味 |
|---|---|---|
| デフォルト・アライブ | 損益分岐点までの期間 < ランウェイ | 追加投資なしで存続できる |
| デフォルト・デッド | 損益分岐点までの期間 > ランウェイ | 追加の資金調達が必要 |
| 境界線上 | 差が1–2か月以内 | 想定する売上成長率に大きく左右される |
デフォルト・アライブかどうかによって、資金調達交渉の構図そのものが変わります。資金に切迫していない創業者は、条件を選べます。デフォルト・デッドの状態で交渉の席に着くと、切羽詰まっていると受け取られ、企業評価額も条件も悪くなります。
ただし、この計算は売上成長率が一定に保たれるという仮定に基づいています。成長が鈍化したり、主要顧客が離れたりすれば、結果は変わります。デフォルト・アライブの計算結果は現状を診断するためのものであり、将来を保証するものではありません。
#
毎月末、または投資家との面談前に、以下のチェックリストを確認してください。すべての項目に迷わずチェックを付けられる状態が理想です。1つでも「分からない」があれば、まずその数字を明らかにしましょう。
- 先月のグロスバーン(月間支出総額)を費目別に整理している。
- 先月のネットバーン(支出総額 − 売上)を計算している。
- 現在の銀行残高(現金および現金同等物の合計)を正確に把握している。
- ランウェイ(現金残高 ÷ ネットバーン)を月数で計算している。
- 直近3か月の平均月次売上成長率を計算している。
- その成長率が続いた場合、損益分岐点に達する月を推定している。
- その損益分岐点がランウェイ内にあるか、つまりデフォルト・アライブかどうかを確認している。
- 不定期の支出(税金、年間契約料など)を月平均に換算し、バーンレートに織り込んでいる。
- ランウェイが12か月未満なら、バーンの削減または資金調達のスケジュールを見直している。
- 3つの数字すべてを、IR資料や事業計画書にそのまま使える形にまとめている。
#
Q. 創業者の給与もバーンレートに含めるべきですか? はい、含めるべきです。除外すると、バーンレートが実際より低く見えてしまいます。投資家は創業者の給与を含めた数字で評価します。創業者が給与を受け取っていない場合は、その事実を別途明記してください。
Q. 政府の助成金を受け取る場合、ランウェイの計算にはどう反映しますか? 受領した時点で現金残高に含めます。ただし、助成金には使途の制限が付くことが多く、必ずしも自由に使えるとは限りません。ランウェイを計算する際は、使途が制限された資金を別途明示するほうが正確です。投資家に「自由に使える現金」と「使途制限のある現金」を分けて示すことで、信頼性が高まります。
Q. まだ売上がない場合、デフォルト・アライブを計算する意味はありますか? 売上がなければ、自動的にデフォルト・デッドです。この段階で重要な数字は、ランウェイとバーンレートです。最初の売上が立ち、成長率のデータが蓄積され始めたら、損益分岐点の見通しを計算できます。売上が立つ前は、18か月分のランウェイの確保を最優先にすべきです。
Q. 投資家にバーンレートを下げるよう言われたら、そのまま従うべきですか? バーンレートの削減と成長への投資は、トレードオフの関係にあります。マーケティング費や採用を削減すればバーンレートは下がりますが、成長率も一緒に下がる可能性があります。重要なのは、バーンレートの削減が成長率にどう影響するかを数字でシミュレーションすることです。直感で決めず、2つのシナリオを比較して判断してください。
#
バーンレート、ランウェイ、デフォルト・アライブは、教科書の中だけの財務概念ではありません。事業計画書の必要資金のセクション、IRデッキの財務状況スライド、投資家との質疑応答で繰り返し登場する数字です。これらを即答できる創業者と、できない創業者との差は、最初の面談から表れます。
事業計画書では、必要資金の表に月間支出の費目別内訳と合計を明記し、助成金を使い切る時点と、その後の自立運営の計画を結び付ける必要があります。審査員が知りたいのは、このチームが具体的に、どのように、いつまで資金を使う計画なのかです。抽象的な言葉よりも、月次の数字のほうが信頼につながります。
IRデッキでは、バーンレートとランウェイを1枚のスライドにまとめて示すと効率的です。デフォルト・アライブかどうかを明記すれば、投資家からの追加質問を減らせます。数字が何らかの仮定に基づいているなら、その仮定も併記するとよいでしょう。前提が明確な数字は、根拠が何も示されていない数字より信頼されます。
この3つの数字が事業計画書やIR資料に適切に配置されているか、その根拠が十分かを自分で判断しにくい場合は、外部の視点が役立ちます。OpenSeedでは、事業との関連性に応じて適用される評価役が、財務数値の整合性や論理性を含めて事業計画書を検討します。
今すぐ事業計画書の審査を受ける
事業計画書のAI審査を受けましょう。分析開始画面に表示される現在の支払い条件が適用されます。
提出前に根拠・論理・リスクを確認する意思決定支援サービス
OpenSeedのレビューを始める →