#結論 — 問題はAIの使用ではなく、「AIらしさ」
政府支援金の審査や投資審査で、AIによる事業計画書の作成を禁止しているものはありません。審査員もAIを使っています。問題はツールではなく、その出力です。AIが生成する、整っていても中身のない文章、出典のない市場規模、どの事業にも当てはまる一般論。こうした特徴こそが、減点の本当の理由です。
| 項目 | 減点されないもの | 減点されるもの |
|---|---|---|
| 文章 | AIで推敲した明快な文章 | AIが生成した、中身のない美辞麗句 |
| 市場規模 | 出典に照らして自分で検証したAIの草稿 | AIが作り上げた架空の数値や偽の統計 |
| 課題の定義 | AIによる構成整理+自分自身の経験とインタビュー | AIが考え出した一般的なペイン |
| 解決策 | AIで説明を明確化+実際のMVPと実データ | AIが想像した機能の羅列 |
#審査員が「AIらしさ」を見抜く5つのサイン
審査員は毎年、何百件もの事業計画書を読みます。AI特有の文章パターンは、数段落も読めば見えてきます。特によくある5つのサインを紹介します。
- 流暢すぎる一般論 — 「革新的なソリューションで市場をリードします」など、誰にでも書ける文章
- 出典のない大きな数字 — 「TAMは₩10兆」といった数値に、根拠や基準年がない
- 具体性のない実行計画 — 「段階的に拡大する」といった表現に、数値や時期が伴っていない
- 競合分析の欠落 — 「競合はいない」とするか、抽象的な優位性だけを並べている
- 課題と解決策の断絶 — 課題は一般論、解決策は機能一覧になっており、両者が論理的につながっていない
#本当に不利になるケース — 検証せずに提出する
AIで書いたことが実際に不利になるのは、次のような場合です。共通するのは、人による検証を省いていることです。
| リスクのある状況 | 起こること |
|---|---|
| 架空の統計を引用する | AIが作り上げた「韓国統計庁2024年」などの出典が、プレゼン審査の質疑応答ですぐに見抜かれる |
| 業界特有の実情を無視する | AIが把握していない規制、許認可要件、業界慣行を見落とす → 実現可能性を疑われる |
| 自分自身の経験が消える | 創業の動機やペインが一般論に置き換わる → Problem(P)の得点が大きく下がる |
| 数値の整合性が失われる | AIがセクションごとに異なる市場規模や売上予測を生成する → 信頼性が下がる |
韓国の予備創業パッケージ、初期創業パッケージ、TIPSなど、プレゼン審査がある制度では、特にリスクが高くなります。実際には自分で書いていない文章を、質疑応答で説明しきることはできません。「この市場規模の根拠は何ですか」に答えられなければ、書面審査で高得点でも結果が覆ることがあります。
#AIで書いた事業計画書に典型的な弱点
AIは「もっともらしい平均」を生成するのが得意です。そのため、事業計画書でも平均的で無難な、差別化につながらない文章を作りがちです。よくある弱点には、次のものがあります。
- 差別化の説明が「技術力」「専門性」「顧客中心」といった抽象的なキーワードで埋まっている
- ボトムアップの売上計算(顧客数×価格×転換率)がなく、トップダウンの大きな数字だけを示している
- リスク分析が「市場の変動」「競争の激化」といった教科書的な項目にとどまっている
- チームの説明が経歴の羅列になっており、「なぜ自分たちなら解決できるのか」につながっていない
#減点されずにAIを使う方法 — AIが下書きし、人が検証する
適切に使えば、AIはむしろ事業計画書の質を高めます。鍵は役割分担です。構成の整理や文章の推敲はAIに任せ、データ・経験・検証は人が担います。
| 段階 | AIに任せること | 人が補うこと |
|---|---|---|
| 課題の定義 | 論理構成、文章の整理 | 自らの経験と顧客インタビュー |
| 市場規模 | TAM/SAM/SOMの枠組み作り | 出典と基準年の確認 |
| 解決策 | 機能説明の明確化 | 実際のMVP、試作品、データ |
| 売上予測 | 計算用のテンプレート | 実際の価格、転換率、顧客数 |
| 最終確認 | 誤字脱字と整合性の一次点検 | 審査員の視点での読み直し |
AIで下書きした後は、段落ごとに「この文章の裏に、自分の実データはあるか」と問いかけてください。データの裏づけがない文章には「AIらしさ」が表れ、そこが減点につながります。
#AIには決して埋められない3つのこと
次の3つは、AIがどれほど優れていても生成できません。これらが欠けていれば、どのAIを使っても減点されます。
- 自ら集めた顧客の一次データ — 自分で実施したインタビュー、事前登録者リスト、購入意向書(LOI)
- 実行の証拠 — 動作するMVP、デザインモックアップ、PoCの結果、特許出願
- 創業者固有の背景 — なぜこの課題なのか、なぜ今なのか、なぜ自分こそが解決できる立場にあるのか
#提出前に「AIらしさ」を確認するセルフチェックリスト
- 市場規模のすべての数値に、出典と基準年が付いているか?
- 課題の定義が、一般論ではなく自分自身の経験やインタビューから始まっているか?
- 差別化は抽象的なキーワードではなく、検証可能な事実か?
- 売上予測はボトムアップの計算に基づいているか?
- 市場規模と売上の数値は、セクション間で整合しているか?
- プレゼンの質疑応答で、すべての文章について自分で根拠を説明できるか?
この6つのうち1つでも「いいえ」なら、そこに「AIらしさ」が出ています。提出前にそのセクションへ戻り、自分のデータで内容を補い直してください。
#審査員の目でもう一度確認する
AIの草稿を自分のデータで補強したら、最後は「審査員ならどう読むか」をシミュレーションします。自分の文章の抜けを、自分だけで見つけるのは難しいものです。書き手と評価者では、見る視点が異なります。
提出前に、AIの草稿に残る抜けを見つける
事業に合う評価役が、出典のない数値、中身のない一般論、未検証の差別化を、審査員の視点で相互に点検します。
提出前に根拠・論理・リスクを確認する意思決定支援サービス
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